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2008年1月15日 (火)

死ぬまで★3発

【死ぬまで★2発】 のつづきです

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舞台下手に 「シミズ宅」 のセット
粗末なベッドに、小さな木製の電話台・黒電話

電話が鳴り、シーツの中から現れたのは、黒いスリップ一枚で目覚めたフタバ
ぁあ…そういうコトねwという

「おじちゃん、朝だよ起きて、遅刻だよ、ホラ・おじちゃんてば~もぅ~ガブリッ!うふふ・解る~?今・おじちゃんの耳を噛んだんだよ~」
小さな女の子からの電話・慌てて切るも、柔らかい表情に
が・電話の脇に置かれた紙幣(多分3万)を見つけ、ビミョウな面持ち

窓を開け、外を眺めるフタバに音楽が被さる
『♪ 何がいけなかったのだろう? 明日を夢見たこと? 貴方を好きになったこと?』

同一進行で、ミヤマが舞台中央に現れる・グリーンのワンピースに赤いカーディガン姿
「新しい父が来たけど馴染めなかった・母はその事に苛立ったわ」
シミズ宅のフタバは、窓の外を眺め・独り物思いのまま
ミヤマとフタバは似た境遇で、シンクロというか、代弁と受けていいのかな?
ワンピースも色柄違いの同型やし

継父に馴染めず、母に疎まれ、自宅が火事になった時・自分が放火したかと思ったぐらい
語るミヤマの隣には 「確かに此処で死んでたんだ!」 苛立たしげなコースケ
そこは 「ドイを殺した広場」
「何を落ち着いてるんだ?」 「私と一緒の方がいいでしょう?」
「ちょっと待て!俺は共犯者じゃない、被害者だぞ!」
「誰も証明出来ないわ!真実はこうよ!私達は2人で此処に居た!貴方は私を救うために此処に居た!」
「どうしてオマエを救わなきゃなんねぇんだよ!」
「放っておけなかったからよ!私の不幸を!!!!!」

『♪ いつも あの角を曲がればと 思っていたけど 何故』

新聞を広げ 「ドイ殺害事件」 が載ってないか血眼のコースケ
「何だよコレ…オマエだろ?コッチは俺の親父だ…賞状を貰ってる…ベストダンサー!?!?!?」
「より良い町づくりの会から表彰されたのよ」
「親父がもみ消した…なる程・そういうコトか…てコトは俺が殺したと思われてる!!!!!」
言われ無き殺人者扱いよか、父親の庇護を受ける方が屈辱のコースケ・苛立つ
「風が来る!」 海辺の町の突風・新聞を巻き上げ、2人の顔に張り付く

目隠しされ手を伸ばし、デタラメにうごめく2人・互いがぶつかった衝撃で新聞が離れ・思わず笑い合う

ミヤマが火事を回想するナレーションが流れ、火に飲まれる継父のくだりからフタバのナレーションが被さる
「母は泣いていた」 シメはフタバの声のみ
ミヤマとフタバは時間軸を超えた同一人物か?

ストッキングを履き、ワンピースを着て 「金のネックレス」 を着けたところで、ビニール袋を下げたシミズ帰宅
「何の真似?アタシの値段?」 怒る風でない問いに 「安いって言うのか」 普通の調子で返す
「答える気が無いなら聞いたりするな」 「答え様が無いのよ」
「そうだ・電話があったわ、アレはモーニングコール?女の子の声だった」 愛しそうな笑み
金のネックレスを外しながら 「コレを私だと想って大切にして…どんな女性(ひと)だった?」 「え?」 「若いのね…きっと」
「お前何か忘れちゃいねぇか?今頃崖っぷちの下で魚の餌になってたはずのお前だぞ」
急に声を荒げ、フタバの髪を鷲づかみに
顔を付き合わせ・強い口調で 「何見てる?俺の何見てる?」
「目・泳いでるぞ」追い詰めるシミズに 「ホラ・止まった、目を見てる」 毅然と返す
「カードの引き落としだって確認済みよ」 勝ち誇る様に
「だったら大人しく息だけしてろ」
ベッドに新聞を広げ・読み始め 「バトル終了」 を決め込む
「じゃあコレは何なのよ!死んでく人間にこんな物何になるよの!!!!!」
カネを床に叩きつける
「親に言われなかったか?お金を粗末にするモンじゃありませんとか何とか」
座り込み、自分のバックの中身をイライラと探し始めるフタバ 「何?」 「タバコ吸うわ」
「コレ・お前か?」 記事を指し示す
「賞状貰ってるこの女だよ」 「ベストダンサー賞?どうして?全然似てないじゃない」

電話が鳴り、ワンコールで出る
「ぇえ…シミズです、警察…いいえ・乗せてません、はい・どうも」 嘘をつき手短に切る
「私のコトね、飛び降りたことにしてくれれば良かったのに…そのネックレスの人みたいに」
自嘲するフタバに 「追われてるってことか?どっから来た?」 気持ち・優しい口調
「ふふッ」 「何笑ってる?」 「私のこと訊いたからよ」
「東京・葛飾区って煤けた町よ、寅さんの、ホラ・映画とか観ない?」 明るい調子に戻る
脚を組み、ベッドに腰掛け 「観ないコトもない」
「どんな映画?」 身を乗り出し嬉しそうに
「シェーン…爆発するトコとか覚えてるよ」
「爆発?あったかな?ボンベとか?」 「細かいコトは忘れたよ」
「爆発?ボンベってことはないか、薪を割ってるんですもの」
「薪を割ってる?」 完全に疑問系w 「シェーンがよ、あとその家の親父さん」
会話が弾み、気安い調子に 「どれがアタシですって?」 ベッドに座り、新聞を覗き込む
遮る様に新聞を丸め 「何やった?」 真剣に
「男を殺した、細かいコトは忘れたわ」 言いたくないことを訊かれ、投げやりに
「細かいコトって…俺は大分前に観たから本当に忘れたんだぞ!!!!!」 はぐらかされ、大きな声に
「アタシだって忘れたのよ!」 「最近のコトだ!忘れるわけないだろ!!!!!」 「勝手なコト!」
「勝手はそっちだろうよ!」 「だったらこの女はどうなのよ!カードのこと?そんなコトが訊きたいんじゃない!」
「他に何があるって言うんだよ!他に何があるって言うんだよ!あの女に!」

シミズは「自殺幇助のタクシー運転手」って言われる程の「飛び越えた人間」
彼がマトモに「人殺しなんて大それたことを…」ってつもりで訊いてるとは思えず
また 「金のネックレス女」 に拘るフタバも 「同じ死のうとした女性について知りたい」 そんな感傷には見えず
まるで 「恋人の元カレ・カノを穿鑿し合ってる」 みたいに見えるw

はぁ…(溜息)な具合に両手でカオを覆い、腰に手を遣るシミズ
お金を拾い上げ、電話台に戻すと

ロッキューなナンバー、男性Voの歌唱で
『♪ アイラヴユー オマエの全てに サヨナラをするたびに』

「どうして自分のモノだなんて想ったんだよ?そういう経験あんのか?」 ソッポ向いたままのフタバ
「アンタの言う通りだよ、こんな物死んでく人間に何にもならない、寝る時いつも此処に置くんだよ・俺は」

「子供どうしたって?」 「え?」 「アンタの寝言で目が覚めたよ、夢みてたんだろ?」
声色が公演開始後から観て来て、最高に優しくなってる
コースケに見せるそっけなさも、崖での嘲笑もない、普通に好意的興味を持って訊く感じ
「うるさくて寝てられやしなかったってコトだよ」 「どんな寝言?」
「猫いらず…効き目の強いやつ」 「子供とどういう関係?」 「俺に訊くな」
「寝言にいちいち責任持てないわよ」 「でもアンタ否定しなかった」
「否定しなかったらどうなるのよ」 「アンタは夢をみてたってコトだよ」
「それに俺は真に受けたなんて一言も言ってない」
会話の擦れ違いに苛立つでなく、噛み砕く様に解いていく
「何考えてる?」
「え・何も…貴方は?何考えてる?色んなコト?」 柔らかい笑顔に

ロッキューなナンバー、女性Voの歌唱で
『♪ アイラヴユー アナタの全てに お祈りをするたびに』

袋からパンと全農牛乳を出すシミズ
パンを半分に割り、食べるか?とフタバに差し出す・2人で食べ和やかなヒトトキ

その脇・ステージ中央では 「霊になったことを認められないドイ」
空き缶を蹴れないこと、道行く人の誰も自分に気付いてくれないことに焦る

シミズ宅の電話が鳴り出す・せっかくェエ雰囲気やのに
上りこんだドイが取ろうとしても、手をすり抜ける・そのままベッドに駆け上がり、窓の外へ飛び降りる

鳴りっ放しの電話に 「出ないの?」 促され 「はい」 出ると、フタバは荷物を持って出て行く
受話器を置き 「何所行く?」 答えず歩み去るフタバ・切られた電話が再び鳴る
一瞬電話を気に掛けるも、フタバを追うシミズ

つづき

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