ＡＣＡＣＩＡ

辻 仁成監督作（2009）
撮影地：北海道函館
東京国債映画祭　09.10.22 14:05-16:30
【コンペティション】（上映前・後に辻監督舞台挨拶）
於：TOHOシネマズ 六本木ヒルズ Screen７にて上映

ええと、ハナシとしましては

タクロウが同級生に囲まれ虐められていると、偶然居合わせた老人に助けられる
老人は元プロレスラー
独居老人ばかりの長屋の住人で、用心棒として頼られていた
あだ名はリングネームの “大魔神”
タクロウは虐めっ子を見返すべく、大魔神からプロレスを教わるようになる

ビッチなタクロウのお母さんは、新しい男が出来たからと大魔神にタクロウの面倒を押し付ける
その際、緊急連絡先として別れた亭主＠タクロウの実父連絡先を置いていった
母親に邪険にされた上に、死んだと聞かされていた父は生きている
「自分は誰からも必要とされていない」
ますます気持ちの荒むタクロウだったが、大魔神の優しさに触れ、子供らしい素直さを見せる様になる

大魔神は、タクロウに早世した息子の面影を見る
息子の早すぎる死・それが元で妻とも離婚、家族はバラバラになった
大切な人を失う辛さを誰よりも知る大魔神
生きているのだから会うべきと、１人タク父の家を尋ねた
タク父は長屋を担当するケースワーカーのハルオだった
ハルオは温和な性格で、得意の腹話術 （コイツは毒舌ｗ） を使い、住民のよき話し相手
偶然に驚く大魔神だったが、さらにハルオには既に新しい家庭が
庭先で可愛らしい娘２人に囲まれ笑顔を見せるハルオ
少し離れて控えめそうな妻が温かい視線を注ぐ
絵に描いたような 「幸せ家族の図」 に躊躇する大魔神だったが
「アンタ・今幸せかい？」 「え？」
しかし、タクロウのことは言い出せず、そのままハルオ宅を後に

てな感じで、殿はケースワーカーでタクロウ実父のハルオ役

爽やかな笑顔を見せ、物腰も柔らかく、いっそ頼りなげなくらい
午前中に観た 【狛】 とは別人すぎてワロタｗ
これがハシゴの醍醐味ってヤツで

ネタバレは避けたい （来春公開予定） から、アラスジはここまでにしときます
ただ・感想はゴッツリ書く （無意味

父と子、夫と妻・一緒であるはずが離れてしまった心
それが「再び繋がった瞬間」ってのを、台詞や演出でもう一押し盛り上げて欲しい気がした
タクロウとハルオの和解には 「え？何時の間に」 って、チト御都合主義かなと
ソコを魅せるのが創作のキモだと思うんですよ
「どうやったらそうなったの？」 ソコに興味があり、カタルシスがあろうと
それを 「男は語らなくても解り合えるんだよ処理」 って、肩透かしｗ
「想像の余地」 でもインですが、あんまり呆気ないもんだから 「大人が子供にこうあって欲しい」 って幻想・願望で終わってねぇか？と
タクロウのボキャブラリーの不自然さとかですね
「大人の頭の中で描いた物語」 って、そりゃ当然なんですけど、解りすぎてなんだかなと

しかし、上映後のトークで聞いたのだが
辻さんは離婚して、どうやら親権が無いらしい？？？
それでも子供への想いってのはあるんだろう
この映画は辻さんの願いだったりするんだろな
子供に健やかであってほしい・何時か自分を許してほしいなどの
子供を亡くした親＠大魔神が 「お互い折角生きてるのだから、ちゃんすればいいじゃん」 ってタクロウ親子に願いを込めるのは、辻さんの自責でもあるんだろなと

僕・成人してるんですけど、未だ所帯も子供も無いもんですから、親子間・夫婦間に対して子供視点でしか解らないんです
想像は出来ても、実感を伴わないし、交際と所帯って次元が違う
そうした立ち居地ですから、夫婦（両親）は仲良くして欲しいし、暴力とかあるならしも、性格の不一致とか頑張れよ（涙目）思ってしまって
子供は見てるだけで解決する能力を持ちませんから、受け入れたくない気持ちが自己否定に向かうんです
よって 「手放しといて恋しいとか何ソレ？は？」 思わなくもないんですが、それでも会いたいんだろうなってのは何となく解る
自分がどんなに親と上手く行かなかっても、元気かどうか気になったりするもんで、ぇえ

ま・そんな話はさておき、上映後トークイベント （質問タイム） が設けられました

イノキ信者の方からの質問で
「イノキ氏も最初の奥さんとの間に出来た子供さんが早世されており、今回の役柄とオーバーラップしています。監督とイノキ氏との間でそうした話はあったのですか？」
辻氏は「していません、必要以上に突っ込みません」と
しかし「大魔神が、実の息子を想い涙する撮影日はイノキ氏、朝から様子がおかしく、体育館の脇で一人ずっと俯き座っていた。想うところがあるのだろうと、スタッフにも声を掛けさせず、そのままのテンションで撮影に挑んでもらった」
「質問者の言われるイノキ氏の気持ちが、大いに反映された画を撮る事ができたと考えています」
イノキ氏の芝居自体は決して上手でないのだけど、ココ一番での気持ちはこもっていたと想います

で・面白かったのは、一番最初の質問指名者＠男性
「ハルオ役の北村一輝さんについてお聞きしたいのですが」
キターwwwwwwwwwwwwwwwwww
「今日来てる男は全員イノキ信者だろ？」 思っていたので、既に彼の存在が俺の中でヤバイｗ
例えると 「さかなクン」 的トーンのキャラ強めな男性で、俺の期待値は臨界点
「腹話術は面白いアイデアだと思いました。北村さんは大変上手だと思ったのですが、元々できる方で 『オイ・オマエッ』 って声も一緒に演じてらしたんですか？それとも、撮影の時は人形の操作だけで、声は後から録ったのですか？」
突放車両のようにまくし立てる男性ｗ
腹話術のハイトーンの真似までするから 「オマエどんだけ北村好きなんだよwwwwwww」
オモシロ＆温かい笑いに沸く客席
辻氏も「よくぞ聞いてくれた！」ってテンソンで一気に答えてくれた
「元々の脚本に腹話術は無かったんです。北村に出来た脚本を見せたら 『父親の気持ちが解り辛い』 と言われましてｗ」
客席笑
「そんなに言うなら何でもやってくれるな？とｗハルオの代弁者として腹話術を追加しました」
「腹話術は全部本人がやっています。協会から先生に来て頂いて、猛特訓しました」
「忙しいスケジュールを縫ってのことで、撮影までに１週間しかない。そんな中で通常３年かかるレベルをたった１週間で習得したんですよ!?」
「「「おぉ～ッ」」」 感嘆の声が上がる客席
「人形の操作も声も本人が全て同時にやっています。ただ、どうしても聞き取りづらい箇所は後から声を当て直していますが、全体の３分の１程度で、ほとんど実際にやってますね」
客席の空気は 「北村ガチすぎる…（ｺﾞｸﾘ」
ヲタ的に鼻が高いす・えへん （何様

腹話術は上手かったよ
ちゃんと聞けたしｗ
たまに聞き取りづらいところもあったけど、場面の流れから理解できるので、問題無し
声もそうですが、操作も上手くってですね
瞬き・首の傾げ方、人形が喋らないシーンでも手抜かり無しで、ハルオの心情にリンクした動きをちゃあんとやってはるんです
ハルオが表に出せない気持ちを、無言のまま人形が代弁したりですね
自問自答を人形と語り合うことで （ハルオが人形に突っ込まれるスタイル＠一人芝居） 表現してまして 「そんな奴きめぇｗ」 チラ思ったりもしたんですが （しっ
「うるさいッ」 って人形の首を引っこ抜くんです
で・ハルオは首を両手で抱えたまま、暫しそれを見つめ目線を落とす
操作部は首と一体型なので、人形の表情は変えられません
ほいでも、ハルオをジッと、寂しそうに見てるように見えるんです
ハルオが正面から自分に向き合った瞬間として、グッとくる場面でした

辻氏インタ読んだ方が簡潔だったか；
【辻仁成インタビュー　「アントニオ猪木さんをもう一度、リングに上げたかった」】http://www.cinemacafe.net/news/cgi/interview/2009/10/6919/

いっつもダラダラ書いてすみませんorz